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羊の放牧。
羊も財産の一種です。
(モロッコ、メクネス市周辺)

 ムスリムにとっての基本的な義務として、いわゆる「5行」があります。5つの義務としての信仰行為です。その3番目が、「ザカート」です。義務として差し出すべき財という意味で、「定めの喜捨」とも訳されています。

 断食明けのザカートと区別する上で、「財のザカート」という用語もあります。要するに、自分の所有する財産から、その一部を貧しい同胞のために差し出すものです。

 「所有する財産」とは、「1年間保有している、生活に必要なもの以上の財産」を意味します。ですから、自宅はどれほど豪勢でも、これにはあたりません。逆に、借家として人に貸して利益を上げている家は、そのような財産にあてはまります。所得そのものは対象ではありませんので、収入がいくらあっても、自分と家族の暮らしに使うお金は、「所有する財産」とはみなされません。

 「1年間」をどこからどこまで数えるかは、おおむね本人の自由ですが、ラマダーン月を起点に使う人は多いようです。たとえば、昨年のラマダーン月1日に100万円の貯金があったとします。今年のラマダーン月1日に見たら、50万円あったとします。そうすると1年間にわたって50万円を所有していたことになり、その40分の1がザカートです。逆に、150万円に増えていた場合は、100万円所有し続けていたことになりますので、100万円の40分の1、2万5千円がザカートです。

 羊を所有している場合は、40頭につき1頭で、比率は金・銀・貨幣と同じになりますが、牛ならば30頭につき1歳牛1頭というように、財産の種類によって細かな違いがあります。日本では、羊や牛が財産という場合はあまりないでしょうね。

関連項目

ザカート・アル=マール(定めの喜捨)
ザカート・アル=フィトル(断食明けのザカート)
サダカ

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