A1 「イスラームの意味」 :イスラームとは「帰依」を意味する宗教名です
世界と人類を創造した絶対神アッラーに帰依します。人間はもともと神によって創造されたのですから、創造主を認めて帰依することは、人間の天性にかなう自然のことであると考えます。
その一方で、神は人間に理性と自由を与えたので、何を信じるかは人それぞれの判断と自由であるとも考えます。
その自由を行使して、自分の判断で帰依するのが、本当の「帰依」であるとされます。
イスラーム教徒を「ムスリム」と言いますが、「帰依する人」の意味です。
A2: 「世界のイスラーム人口」 最近の推計では、16~17億人です。
宗教別の世界人口の調査は、公式にはおこなわれていませんが、推計はあります。それは国別の推計を合計する方法で数えますが、最近の推計によれば、16~17億人で、世界人口の23%強とされています。宗教別に見ると、キリスト教に次いで、2番目に大きな人口となっています。なお、キリスト教は教会・教派がいろいろですので、教会別に見ると、カトリック教会が最大です。イスラームの9割は多数派のスンナ派に属していますので、教会や教派を単位に考えるのであれば、スンナ派が宗教別で最大の人口を擁していることになります。
A3: 日本のイスラーム: 10万人程度です
公式の統計はありません。推計で、10万人程度と考えられています。
日本国内では、宗教人口は、それぞれの宗教法人が信徒数を文化庁に届けられています。それを合算すると、日本の総人口をはるかに上回りますので、宗教人口はそれほどあてになりません。イスラームでは、イスラームを代表する教会や寺院はありませんし、教区や檀家制度のようなものもありません。
日本に住んでいる外国人の皆さんは国別の統計がありますので、イスラーム諸国出身者を計算すると、10万人というような推計となります。
A4: 戒律: 教えは誰にでも実践できます
どんな宗教でも、あるいは哲学的な教えでも、それがいいものだと思える人にはガイダンスとなります。しかし、他の人にとっては、どんなにいいことでも、よけいなお仕着せのように見えるでしょう。イスラームを外からながめると、戒律が厳しいように見えますが、本人たちは、非常に有益なガイダンスだと言っています。
全世界に、ムスリム(イスラーム教徒)は16~17億人もいます。そんなにたくさんの人が、いいことだと思って実践しているのですから、それほど厳しい戒律とは言えないのではないでしょうか。
一部の立派な人しか実践できないような戒律は、「厳しい」ということになるかもしれません。イスラームには、神仏に仕えるためには結婚してはいけないとか、ふつうの人の結婚がうまくいかない場合も離婚は許されないというような規則はありません。誰でもできるかどうか、ということを基準にするならば、イスラームの教えはむずかしくない部類に入ると言えます。
A5: イスラムでもいい?: かまいませんが、正確にはイスラームと延ばす方がいいでしょう
イスラームという名称は、聖典クルアーンで明示されています。アラビア語の原音をぴったり正確に日本語にすることはできません(何語でも、ぴったりには音を写すことはできません)。ですから、一番近い音にすることになりますが、それだと「イスラーム」となります。
A6: 「教」と付けない?: かまいませんが、その場合は狭義の宗教を指すのがいいでしょう
イスラームは、日本でいう「宗教」よりもはるかに広い範囲を意味します。イスラーム法も、内面的なことから、礼拝やモスクなどの信仰に関わる事項、結婚・離婚のような民事、司法や刑法に関わる分野、さらに国家や統治、外交までも含まれています。経済にもかかわりますから、イスラーム銀行もあります。
「イスラーム銀行」を「イスラーム教銀行」というのはヘンですし、「イスラーム国家」も「イスラーム教国家」ではありません。したがって、「イスラーム教」という場合は、政治や経済を含まない宗教だけの部分を指す方が、区別がしやすいと思います。
A7: エライのは誰?: イスラームでは、人間は平等です。
心がきれいで、神を畏れ、その分だけ神に近い人はいるかもしれませんが、「自分は神に近い」と主張することは許されません。したがって、アッラーの啓示を受け、イスラームを伝えた預言者ムハンマドは別格だとしても、それ以外の人間の中で誰かをエライ、とすることはできません。
その一方で、社会には、役割というものがあります。サウディアラビアの国王は、王として自分の国民を率いるだけではなく、聖地を守る「2聖都の奉仕者」として、大きな役割と責任を負っています。責任の大きさを「エライ」と表現するならば、確かにエライ方と言えます。ただし、人間の平等性を超えてまでエライわけではありません。