アラブ人の鷹匠
(ドバイ)
「アラブ」と呼ばれる人びとは、古代からアラビア半島に住んでいました。しかし、当時のアラビア半島では、「民族」という考え方はありませんでした。オリエントのほかの地域では、「~人」という民族名が見られますが、アラブの人びとは部族として生きていました。彼らは、アラビア語を母語として、自分たちの部族はアラブの血統を引くと自慢して生きていたのです。その意味で、彼らは「アラブの諸部族」でした。
イスラームは、人間は平等であり、血統を誇ることには意味はないと教えました。やがて、イスラームが東西に広がると、西アジアから北アフリカの人びとはアラビア語を話すようになり、ここにある国が現在では、アラブ諸国と呼ばれています。現代では、民族としてのアラブ人と言うことができます。
このような人たちはイスラームという宗教を通じて、アラビア語とアラブ文化を身につけた人びとです。一部は古くからのアラブの血統を引いていますが、現在のアラブ人全体を見ると、文化的な意味でのアラブ人の方が多くなっています。
イスラームの聖典クルアーンはアラビア語です。聖なる言語の力が、「アラブ人」となる人の数を増やしたと言うこともできます。